AI推論の処理を担う半導体が続々と登場している。AIシステムの学習や推論に必要な膨大な計算を効率的に実行できる半導体は、AIの実用化を後押しする上で極めて重要な要素となっている。
最近では電力効率の高い半導体が注目を集めている。AIシステムを搭載した端末機器が増える中、消費電力の抑制はAIの実用化にとって大きな課題の1つと言える。そこで、電力効率の高い半導体が続々と登場し、AIシステムの消費電力低減に大きく貢献している。
NVIDIAの新GPUアーキテクチャ「Ampere」は、前世代の「Turing」に比べて電力効率が最大2倍に改善されている。Ampereを搭載した新型GPUは、AI推論処理時の消費電力を大幅に抑えられるという。
Googleが開発した第2世代のAI向けASIC「Cloud TPU v2」も注目される電力効率の高い半導体の1つである。Cloud TPU v2は前世代比で最大2.7倍の電力効率を実現。GoogleのAIサービスで利用されている。
半導体メーカーArmが開発した新CPUコア「Cortex-M55」は、機械学習推論処理向けに最適化された低消費電力コアだ。Cortex-M55を搭載したマイコンは、機械学習モデルの推論に必要な処理を最大6倍の電力効率で実行できるという。
AIの学習や推論に適した様々な半導体が登場する中、消費電力の抑制は引き続き重要な課題である。電力効率の高い半導体がAIシステムの消費電力低減に大きく貢献し、AIの一般への浸透を後押しすることが期待される。